情報処理北海道シンポジウム2014 発表論文

ポスターセッション1 (10:30 - 12:00)

ヘルスプロモーションは「人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」であり、自らの健康を維持・向上させる不断の努力が欠かせない。身体活動は、生活活動と運動をあわせたものであり、体を動かしたという本源的な欲求にこたえているが、包括的な評価は行われていない。身体活動量は、生活活動量と運動量に区分して包括的な計算し、基準値と一定の強度で年齢別に導出評価ができる。本研究では包括的な身体活動量評価の概念をスマートフォンアプリ(クラウド環境)に実装して、主体的なヘルスプロモーションと他者の身体活動量を参照して行動変容を促進するようなサービス環境を構築した。

【A-02】 Leap Motionを利用した3次元医用画像表示方法の提案
ZHANG XINYUAN (北見工業大学情報システム工学専攻)

本研究では,非接触型入力デバイスLeap Motionの高精度な位置情報を利用して医用三次元画像を観察•認識し,操作することができるようにする。Leap Motionの上で指と手を操作して,ヴァーチャル空間内の医用三次元画像を観察するシステムの開発を提案した。外科手術中に,常に清潔に保たれなければならない手袋を着用する必要がある,従って, 外科医は,直接ワークステーションを操作することはできません。そこで,画像操作用のモーションセンサーを使用して,指の動きで各種の画像処理を操作することができます。ケアの質を向上させるために無菌侵襲的技術の使用によって病気の診断及び治療を行う。

【A-03】 自動和声付与システム”CMY”
エバンズ ベンジャミン ルカ (北海道大学大学院情報科学研究科)

我々はこれまで,バス課題を実行するシステム”Composing Music for You(CMY)”を実装してきた.本研究ではCMY内部のシステム構造を改め,より音数の多い楽曲もリアルタイムで扱えるようにした.また入力の制限を緩和し,バスパートに限らない,任意のパートの楽譜を入力として扱えるようにシステムを拡張した.
近年、日本への留学者数は増加傾向にある。しかし、N3の認定率は連続40%以下が多いという結果になっている。本研究では、日本語能力の上達をはかり習得時の不便さを解消すべき、日本語能力初級レベルを持っている中国人向けWebアプリケーションを開発する。生活に実用性の高い日常会話と敬語を中心にする基礎的なコンテンツを組み入れる。さらに、中国人学習者が習得過程でよく間違える例を練習問題に取り入れ、楽しく体験的に学んでくることができる。生活者としての留学生が身近な生活に必要となるコミュニケーション能力を獲得するように、教科書だけの知識とのギャップを解消し、日本でのスムーズな日常生活のサポートを目指している。

【A-05】 単語の概念構造と格を考慮したテキスト含意関係認識
阿部建 (北海道大学大学院情報科学研究科)

本研究ではテキスト含意関係認識について取り組んだ.テキスト含意関係とは,前提と仮説のテキストペアが与えられたとき,前提となる文章から仮説となる文章がおおよそ正しいと推論できる関係を指す. テキストの含意関係を示す言語現象は複数あるが,本研究では体言における上位下位関係について議論する.単語間の含意関係と上位下位関係の方向には,その単語がテキストの中で所属する格,及び下位概念の数が重要であると考え,これらを特徴量として設計し,機械学習によって分類を行った. 結果として単純な単語の類似度や表層情報の利用に比べ,性能が向上した.
近年多くの文献史料がデジタル画像化されている。そういった文書画像中からキーワードの抽出ができれば、文書内容の推定に役立つ。本研究では、明治期の函館新聞に対して、日付ごとにその日の記事内容を特徴付けるキーワードを自動的に抽出することを目的とする。明治期以前の文献史料に対する文字認識は困難であるため、テキスト形式ではなく画像データとしてだけで保存されていることが多い。その中で、細谷らの方法では画像特徴量の類似性判断により、文字認識されていない文書画像から頻出文字列を画像として抽出することができている。しかし、頻出文字列が記事内容を特徴付ける文字列かどうかは判別できていない。そこで本研究では、頻出文字列に対し重要度の評価を行う。

【A-07】 自主学習継続のための学習支援システムの構築
安藤大岳 (公立はこだて未来大学)

変化の著しい現代社会に柔軟に対応していくために自主学習が必要である.しかし,必ずしも全ての学習者が自己統制的に学習を行っていく力を身に付けているとは限らないため,自主学習の継続が課題となっている.この課題を解決するために,自己調整学習に基づく学習支援を検討し,自主学習継続のための学習支援システムを提案した.提案システムは,学習者に実効性の高い学習スケジュールを提示し,その実施状況の記録及び可視化を行うことで学習者が自らの学習に積極的に関与しながら学習を継続できるという特徴を持つ.今後は提案システムを実装し,適切な計画を提案できたかや実施状況の把握と評価を行う動機付けになったかを評価項目の軸として有用性を評価していく.

【A-08】 3Dモデルを用いた函館湾の海上交通の可視化
伊藤飛雅 (公立はこだて未来大学)

海上を移動する船舶の位置情報を可視化し,衝突事故の軽減や安全性の向上に役立てる研究は数多く存在している.しかし,海上の情報を3D空間に再現する手法はまだ数少ない.船舶等の海上の情報を3D化することで,より多くの情報をユーザーに与えることができるようになると考える.また,函館は観光都市として有名で,数多くの観光客が訪れている.しかし,函館湾を対象とした観光地が少ない. そこで,函館湾を航行する多数の船舶の情報を同時に処理し,3Dデータとして可視化することで函館湾の観光に役立てるシステムを提案することができると考える.よって本研究では,函館湾を航行する船舶の3D可視化ツールを開発する.
コンピュータの性能の向上により,大規模なニューラルネットワークを構成することで高度な認識力を獲得することができるようになった.特に,物体の画像認識や手書き文字などの認識率が向上したことなどが知られている  Moezらの研究では,人の行動を動画として記録し,動画に対してニューラルネットワークを用いることによって行動の種類別に分類することに成功している.これは,歩行や手を振るなどの行動を行っている動画を分類するものであるため,各フレームでは,それぞれの行動に依存した特徴が顕著に現れるため,その特徴を抽出することで分類精度を上げていると考えられる.  一方,例えば,スーパーなどの監視カメラの映像から万引き犯などの不審者を特定したいといった場合,不審者は通常の買い物客と同じような行動をしていると思われる.ただし,不審者特有の怪しい振る舞いを抽出できれば不審者の自動検出につながると考えられる.  本研究では,同一のタスクを実行する二種類のエージェントをその行動パターンから両者を識別することが可能であるかについて検証する.二種類のエージェントは,ニューラルネットワークで実装したコントローラを独自に進化させたもので,同じタスクを目的としつつも,その行動パターンについては異なるものとなっている.それぞれのエージェントの行動について学習し,エージェントを識別可能かどうかについて実験を行った.
本研究では,看護師勤務表作成問題に対して進化型多目的最適化手法に基づく新たな効率的探索アプローチを提案する.提案アプローチは問題の性質に特化したメカニズムによる探索の高速化,および多目的の枠組みによる多様な解候補の導出を特徴としており,実際の病棟事例を元にしたある程度の困難性を持つ問題に対して,現実的な時間で質の高い許容解を複数導出することを目的としている.具体的なメカニズムとしては,制約充足を考慮した初期化および各遺伝的操作,制約違反箇所を効果的に改善する局所探索などを実装し,これらの有機的連携による効率的な探索の実現を目指している.本アプローチは,市販の看護師勤務表作成システム「セルヴィス」を元に開発しており,セルヴィスに実装されている既存エンジンとの比較実験を通じて有効性の検証を行った.
本稿は,人々が生活している街の中で,徒歩や車などの異なった手段で移動したデータを蓄積し,その滞在時間や移動時間に基づいて変形した地図「行動マップ」を生成するシステムを提案する.また,行動マップを見ることによって,ユーザが自身の住んでいる街に対してどのような考えや気付きを得るかに関する調査を行う.行動マップは,人々の生活の中での滞在時間や移動時間を基準に変形することで,個人の生活空間だけではなく,生活時間も含めた「生活時空間」を可視化できる,と考えられる.
観光を基幹産業とする地方都市では概して観光は低迷傾向にあり,近隣諸国からのいわゆる外国人観光客に観光収入や期待を掛けている事態にある.著者ら所属大学のある函館市でも,観光客数推移は2000年前後は年500万人を超えている年がほとんどであったが,2005年以降は500万人を切っており,緩やかな低下傾向にある. 一方,国土交通省観光庁では従来の物見遊山的な観光形態に依らず,これまで観光資源として気づかれていない地域固有の資源を活用し,体験型あるいは交流型の要素を取り入れた新たな旅行形態に注目している.実際に各地でエコツーリズム,グリーンツーリズム,ヘルスツーリズム,産業観光等の従来なかった形態の観光形態が見られ始めている. そこで我々は函館地域の既存の地域資源を分析し,その活用を促進するための携帯端末用アプリを開発することで,既存資源を活用した新たな視点の地域観光スタイルの提案を目指す.

【A-13】 PBL向けインフォーマル学習支援システムの構築
花田 洋貴 (公立はこだて未来大学)

近年,実践的なICT人材の育成を目的にソフトウェア開発をテーマにしたPBLを実施する高等教育機関が増加している.PBL参加者はチームでのソフトウェア開発経験が浅いことから各工程で行うべき項目や内容がわからない現状がある.この現状は,ソフトウェア開発に関する基礎知識・技術の利用や応用ができていないこと,PBL開始時点で未学習の知識・技術が必要になることから生じる.そこで,本研究ではPBLの進行に合わせて適切な資料の提示を行うことで,自主学習による必要な知識・技術の習得を支援するシステムの構築を行う.システムを用いた際に自主学習が効率的に行われたかを実験することで有用性を示す.

【A-14】 Deep Learningを用いたイラスト画像検索システム
丸藤剛大 (北海道大学大学院情報科学研究科)

近年、イラスト投稿サイトようなサービスを通じて、様々なイラストをウェ ブ上で閲覧する事が出来る。通常のテキストによる検索に加えて、ユーザが自分の好きなイラスト画像を用いて検索・推薦できるような機能があれば、画像検索を大きく助ける事が出来ると考える。一方、昨今の画像認識の分野ではDeep Learning を用いた手法が注目されており、その 1 つであるDeep Convolutional Neural Network (CNN) は特に優れた成果を挙げている。本研究では、イラストを画像によって検索するシステムにDCNNを用いた手法を適用し、既存のイラスト検索システムを改善することを試みる。

【A-15】 デマンドバスの運行シミュレータによる集約の効果の検証
岩崎剛 (公立はこだて未来大学システム情報科学部複雑系知能学科知能システムコース)

デマンドバスを効率よく運行するために,近い位置と時間で乗降者する利用者に対しては,共通の乗降場所,乗降時間を決めて,その場所と時間に利用者の乗降場所と乗降時間を集約し,バスの停車回数を減らす方法が考えられている.そこで,どのような条件で集約をすれば,どれくらいの効果が得られるのかをマルチエージェントシミュレーションをすることで検証する.また,ビジュアライザにより視覚的に集約の効果を明らかにする.
本研究では,eポートフォリオの内容を構造化・可視化することで,記録や評価にかかる手間や時間等のコストを削減して活用の機会を高めるシステムを提案する.一般に普及しているeポートフォリオのほとんどはデータをそのまま記録・閲覧するような機能のみであるため,コストが大きく感じる問題点がある.そこで,まずeポートフォリオに学びをその都度簡単に記録し,後にそれらの中で類似した内容を集め,構造化した結果を表示することで記録コストの低減を目指す.また,評価対象のeポートフォリオ全てについて同様に内容を構造化し,学習や意見の流れを容易に把握できるようにすることで評価コストの低減を目指す.

【A-17】 大型施設におけるタブレット端末を用いた情報提供手法の開発
宮原湧司 (函館工業高等専門学校専攻科生産システム工学専攻)

現在コンピュータ性能の向上により3Dモデルの利用が注目されてきている. 2D図面では表現しきれなかったサイズ,外観などの空間情報が得られるため,地図などの図面を3Dモデルに拡張することにより有意性が高められると考えられる.だが,実際には作成にかかる手間や利用環境などの問題からその利用はあまり進んでいない.また,近年,様々な店舗を持つ大規模な施設が増えてきた.施設の大規模化に伴い地図も複雑化し,わかりやすい地図の需要も高まっている.そこで,本研究では3Dモデルを作成し,利用方法及び妥当性を検討することを目的としている.ここでは,3Dモデリング・ソフトウェア「SketchUp」を用いて校舎の3Dモデルを制作し,それを利用したAndroidアプリケーションを作成し,その有意性を検証する.
ハンドボールやサッカーなどのチームスポーツにおいて,チーム内でお互いに戦術を確認する場面は多々見られる光景である.しかし,作戦ボードや身振り手振りなどを用いても, 戦術の行動と目的を話し手がうまく伝えられない場合や, 聞き手がうまく理解できない場合があり, その結果試合中のミスにつながることがある.また,戦術において重要と考えられる優勢領域のような情報を伝えるのは難しい. それらの情報を表現し, 伝えることが可能なツールを開発することで, 戦術の共有がしやすくなると考えられる. そこで本研究では,ハンドボールを題材にし,情報技術を用いてハンドボールにおける戦術共有支援を目的とした.そのために,戦術を意味づける情報である「優勢領域」を表示する機能を備えたアプリケーションを開発した.
近年, 仮想的なアバタを仲介とした新たなコミュニケーションスタイルが注目されている.アバタを仲介することによって, ユーザ望む理想的な仮想空間でのコミュニケーションが図れることや, 人と直接相対することなく自分の意思や伝えたい内容を表現できることなど, 大きなメリットが得られることがわかっている. 一方, 従来のアバタベースの遠隔コミュニケーションシステムは3人以上同時のコミュニケーション場に応じたアバタの振る舞いを, 全体の整合性を保持したまま個別に制御することは困難であった. そこで本研究では, コミュニケーションの場に参加する物理的な人々(各端末)の姿勢・位置情報を共通ターゲットの認識と端末間のサーバ連携で共有し, これを各端末から見えるアバタの振る舞いに反映させるARコミュニケーションシステムを開発した.
ニューロフィードバックトレーニング(NFT:NeuroFeedback Training)とは,被験者が脳活動を望ましい状態へと変更していくよう,試行錯誤を何度も繰り返す訓練である. NFTは疾患の緩和等への効果が知られているが,訓練しても効果を出せない被験者が存在することがわかっている.一方で,2者が相互作用しているときに2者の脳波が同期することが知られている.我々は,この2者の相互作用による同期によって,NFTができない被験者の脳波をNFTが可能である被験者に引き込み,効果を出せると考えた.しかし,2者の被験者が協力してNFTを行った例はなく,本稿においては,2者によるNFTの実験の枠組みを提案し,2者によるNFTが可能であるかどうかを検証した.
本稿では,音響信号を用いた三辺測量による高精度位置推定手法の誤差要因についての検討を行った.われわれが独自に開発した位相一致法と呼ばれる手法の測距性能は,送信機であるスピーカと受信機であるマイクロフォンの位相特性の影響を受ける.そこで、ダイナミックスピーカと圧電スピーカの高域可聴周波数帯域における位相特性を調査した.実験結果から,圧電スピーカはダイナミックスピーカに比べて位相特性が滑らかで,補正を行うのに有利であることが分かった。測距誤差を軽減するための位相特性の補正法について、考察を行った.
複数のロボットが協調動作を行うことにより作業の効率化や大型物体の運搬など単独ロボットでは不可能な作業が可能となる。本研究では、マーチングなどの行進にみられる整列されたフォーメーション制御を実現するために複数ロボットでのフォーメーション形成方法について検討を行う。本稿ではSelfOrganizingMap(SOM)を使用したフォーメーション形成を提案し、シミュレーション実験を通じてフォーメーション形成が可能となることを示す。

【A-23】 染色体数可変GAに関する基礎検討
古川真衣 (苫小牧工業高等専門学校)

遺伝的アルゴリズム(GA)は,自然界の生物進化を模倣とする最適化手法の一つであり,全探索が不可能なほど広大な解空間を持つ問題に有効である.本研究では,進化の過程で染色体数を増減させる新しい手法である「染色体数可変GA(FCGA)」を提案する.また,単峰性,多峰性の関数の最小値を求める問題について,従来のGAとFCGAを適用し比較する.その結果,FCGAは従来のGAよりも収束性が高いことが確認できた. 次に,指向性アンテナの自動設計にFCGAを適用した結果,ダイポールアンテナから八木アンテナに進化していく様子を確認し,FCGAの効果を確認できた.さらに,交叉・突然変異させる確率に重み付けをすることで,収束性が向上することを確認できた.
博物館の学芸員は,来館者に自由な発想で展示物を鑑賞してもらいたいと考えている.とはいえ,情報がないまま展示物を鑑賞するのは,来館者にとって至難のわざである.そこで一般に,展示鑑賞の支援手段として,文章や図版による解説パネルが使用されるが,これらは,学芸員が来歴や事実などを整理して来館者に伝えるものであって,来館者自身が着眼点を見つけることを支援する方法ではない.そこでもし,情報技術を用いて,来館者が着眼点を見つけるプロセスを支援することができれば,有効な鑑賞支援ツールとなるだろう.  そこで本研究では,来館者が自在な着眼点で対象物を観察するために,実体展示と画像表示システムにおける注目エリアを連動する方式を提案する.

【A-25】 深層学習を用いたペアワイズ分類
古堂和音 (北海道大学情報科学研究科知能ソフトウェア研究室)

二例が同一クラスか否かを判定するペアワイズ分類は,エンティティマッチングや,人物のアイデンティティ推定といったタスクにおいて重要である.先行研究では,サポートベクトルマシンと有効なカーネルを用いた方法が提案されている.一方で,サポートベクトルマシンでは,逐次的な学習ができず,増え続けるデータにそのまま対応することは難しい.そこで本研究では,深層学習を用いることを提案する.ニューラルネットワークの拡張である深層学習は,逐次学習が可能であるとともに,高い識別性能も期待できる.本研究では,先行研究の方法と深層学習を比較することで,その有効性を検証し,考察を加える.

【A-26】 バス位置の可視化による観光支援システムの提案
工藤 卓也 (公立はこだて未来大学)

本研究では,空き時間のある観光客を対象に,近場だけでなく少し遠くの観光スポットへも行けるようにし,観光の幅を広げることを目的としている.バスで行くような観光スポットに最寄りの停留所からバスに乗って行けることを示すことで目的を達成する.そのために,地図上に観光客自身の現在地やバスの現在地,バスの進行方向,停留所,路線図,観光スポットを表示する手法を提案する.しかし,全てのものを地図上に表示してしまうと選択が困難になるという課題がある.その解決方法として,地図上に表示する情報を絞るためのアルゴリズムを提案する.また,有用性を確かめるために函館市を対象にシステムの構築を行なう.
近年,クルーズ客船による旅行が注目を集めており,函館湾でも2014年に38隻のクルーズ客船の入港が予定されている.この中には 10万総トン以上の超大型クルーズ客船も含まれている.函館湾には10万総トン以上の船舶が入港したことがないため,このような巨大船舶が函館湾内の海上交通に与える影響は明らかになっていない.海上交通を把握するためには,船舶の位置情報を取得することが必要不可欠である.しかし,現状では位置情報取得可能な船舶は旅客フェリーや貨物船,タンカーなど一部の大型船舶に限定されている.本研究では函館湾内の船舶の動静を把握し,湾内の海上交通の把握や安全航行支援を実現することを目的とする.本稿では,この目的を達成するために必要となる位置情報取得・重畳表示システムの開発について述べる.

【A-28】 小型船舶の横揺れ計測と復原性の評価
高橋 浩貴 (公立はこだて未来大学システム情報科学部情報アーキテクチャ学科)

北海道では毎年小型漁船の転覆事件が起きており,事件の原因の多くは積載物の重量が増えることによる復原力の低下である.本研究目標は小型漁船の転覆事件を未然に防ぐことである.本稿では研究のため必要となる計測機器の選定,実験よって得られた計測データ,今後の計画について示す.

【A-29】 星新一作品のネットワークによる分析の試み
高橋寛恒 (公立はこだて未来大学大学院)

本研究では,「気まぐれ人工知能プロジェクト『作家ですのよ』」における試みの一環として,星新一作品のネットワークによる分析を行った.分析においては,薬をテーマにしてると思われる作品32編を対象とし,共起ネットワークと係り受けネットワークの2つのネットワークを構成した.結果として,共起ネットワークにおいては,特定ノード群に着目することで,星新一作品における特徴的な人物表現や,テーマに関連すると思われる語を観察することができた.また,係り受けネットワークではランダムウォークの適用によって既存の星新一作品から短文を生成する方法を示した.以上のことから,ネットワークによる分析は,有効であると考えられる.
コンピュータの高性能化及びクラウド技術の進歩にともなう情報のビッグデータ化に伴い幅広い分野で扱うデータや問題自体が大規模化しており,その対応が大きな課題となっている.本研究では,Vehicle Routing Problem(VRP)における超大規模な問題をその対象として扱い,問題の大規模性に特化した新たな効果的アプローチの提案を行う. 膨大なカスタマーを有する大規模問題は,その探索空間の広さからこれまでの従来手法では現実的な時間内にユーザーが妥協できる品質の解を導出することが難しい.そこで本研究では,この大規模問題に対してクラスタリング技術を利用した問題の単純化を行い,段 階的にその単純化を解消しながら解探索を行うことによる効率的な探索の実現を目指した.数値実験では,ある一定数以上のカスタマー数を有するテスト問題を対象に,問題の単純化を全く行わない場合との比較を行い,提案するアプローチの効果および有用性について検証を行った.
ディスカッションマイニングとは,会議における活動を複数メディアで記録し,そこから再利用可能な知識を抽出するための技術である.音楽理論とは,音の時系列を構文解析する技術である.本研究の目的は,音楽理論GTTMの手法を用いて議論を「構文解析」することである.本稿では,議論タイムスパン木の生成方式について計算機上に実装する手法を提案し,プロトタイピングシステムの有効性について検討する.

【A-32】 識別精度が一様でない識別子の集合による多数決
三上絢子 (北海道大学大学院情報科学研究科)

複数の識別子を統合してより高性能な識別子を構成する試みは多く見られる. 統合方式としては出力の平均や多数決を取る試みが多い. また, それぞれの識別子の出力がより多様であることが望ましいことも知られている. 一方で,そのような解析の多くは構成識別子の識別率が同一であると仮定して行われている.本研究では, 構成識別子の識別率が異なる場合でも, むしろ異なれば異なるほど, 統合の効果が大きいことを理論的に示す.
近年、ゲーム開発は複雑さを増している。特にゲームのバランス調整や不具合検出と言った調整作業は多大な 労力を要する。ゲーム中に利用されているパラメータ数が増大し、最適な組み合わせを発見する作業が容易ではないためである。本研究では、「マキネーション・ダイアグラム」と呼ばれる、ゲームシステムを記述するダイアグラムを用いて、ゲームバランスを定量的に評価する。また、近年、ソフトウェア開発で積極的に取り入れられている、継続的インテグレーションの仕組みを導入し、ゲームの開発フロー内で、定量的なゲームバランス計測を効率的に行えるような手法を模索する.
昔話や童話を題材にした童謡は多く存在するが、その歌詞は物語の内容を流れに沿って短くまとめたものであり、全体の文字数は元となった物語よりも圧倒的に少ない。つまり、物語を元に作成された歌詞は、その物語内容を凝縮した要約のようなものとも言える。そこで本研究では、物語のテキストからその内容を特徴付けるような単語を抽出して組み合わせることで、物語内容を踏まえた歌詞を生成することを考える。ここで星新一ショートショートに着目している理由は、「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」に未来大学所属の教員が多く参加していることが背景にある。
筆者らはダンス学習者のチャンクの形成過程を分析することで,ダンス練習の体系化や,効率的な学習支援システムの開発につながるのではないかと考えた.ダンス学習者が初級状態(ダンスをまったく踊れない状態)から中,上級状態(お手本のダンスがどのようなダンスかを覚えているが再現できない状態や,覚えていてかつ再現できる状態)へ到る過程において,チャンクがどのように変化するのかについて分析する.
英会話初心者には,たくさんの聞き取れない語句や,表現できない語句がある.聞き取れないあるいは表現できない場合に,そのことをどうやって伝えれば良いのか,具体的な不明点がわからないため,生徒は何もできず黙ってしまったり,わかったふりをしてしまったりする.このため,教師とうまく意思の疎通が図れなかったり,レッスンの雰囲気が悪くなったりしてしまう.そこで本研究では,教師が生徒の不明点を理解し教示するための支援機能をもつ英会話レッスン教授システムの設計と実装を目的とする.

【A-37】 自立的な対話をするキャラクタエージェントシステム
守田 航大 (公立はこだて未来大学大学院)

現在、エージェントの台詞は予め開発者が設定した言葉しか喋らず、決まった入力に対して決まった返ししかできない。しかし、本研究では、はじめは必要最低限の知識や情報のみを所有し、その情報を元にユーザとの対話を繰り広げ、エージェントが対話の中で成長していくようなシステムの開発を目指している。方法としてはインターネットを辞書のように扱い、知識を蓄えていき、その知識を元にエージェントの台詞を構築する。これにより、予め台詞を設定する必要はなく、さらに様々な場面に対応することができると考えている。システムの開発後は、実験を行いエージェントの台詞に対しての評価をする予定である。
ショッピングサイト等で利用されるレビュー機能は,購入者による商品に対する感想や意見を知ることができるため,購入の判断の際に有用な情報となる.一般的に,レビューは詳細なものほど情報として有用なものとなり,ユーザの購買意欲を高める効果が期待される.しかし,小説等のストーリーを持つ商品に対しては,内容が詳細に記述されていると,事前にストーリーの展開が分かってしまい,その商品の実際の良さにかかわらず,ユーザの購買意欲を著しく削いでしまう恐れがあり問題である.そこで,本研究では,レビュー文の閲覧補助を目的として,小説のレビュー文を対象とした,ネタバレ文・意見文の分類を行った.

【A-39】 進化言語学の手法による人工生命における語彙の発生
小山寛人 (北海道大学大学院 情報科学研究科 情報理工学専攻 知能ソフトウェア研究室)

進化言語学とは,言語の起源と進化に関する研究分野である.この分野では近年,コンピュータシミュレーションによる研究が盛んに行われている.一方,人工生命の分野では,生命の知的な振る舞いの原理に関する多くの研究がこれまでになされてきた.本稿では,進化言語学の手法に基づいて人工生命に言語を獲得させる方法について議論する.提案手法では,二次元空間上で餌を探す仮想的な生物を考え,それらの生物が単語による簡単な会話を行う環境を作成した.そして,各生物の行動を決定するニューラルネットワークを遺伝的アルゴリズムによって最適化し,その結果について考察した.

ポスターセッション2 (14:30 - 16:00)

【B-01】 臨書初級者のための文字バランス学習支援システムの評価
小田川玲奈 (公立はこだて未来大学 竹川研究室)

書写において文字バランスの習得は重要であり,文字 バランスの練習法方法として,手本と見比べながら文字 を書く臨書がある.しかし,手元の手本と実際に文字を 書く半紙は離れているため,文字のバランスが適切であ るかどうかは直観的に判断しづらい.そこで,本研究で はこの問題点を解決するために臨書初級者のための文字 バランス学習支援システムの構築を目的とする.提案シ ステムはタブレットを利用し,学習者は手本を表示した タブレット上に半紙を置き,墨汁に浸した筆で文字を書 く.半紙は薄い紙であるため,半紙越しにタブレットに 表示されているコンテンツを見られる.また,筆の一部 に導電性テープを貼り付けることで,タブレットに触れ ている筆の位置をタブレットが認識できる.この特性を 活かし,手本からの離脱を促進し学習効果を高めるため に,学習者が書いた筆跡を採点する機能を提供する.
WHOは,手指衛生ガイドラインを発表し,国を問わず「SAVE LIVES:Clean Your Hands(命を救う:あなたの手指衛生)」活動を推進している.公共の場や店舗の各所で各種細菌伝播を防ぐために手指消毒ボトルは設置されているが,個々の予防意識の希薄さからか手指消毒の遵守率は低いまま推移しており,感染予防の実践は,社会で啓発された理論や概念と結びついていない.本研究では,現状の設置方式にサウンドデジタルサイネージ効果を用いたシステムを開発して検証した.システムは音声報知と放置ディスプレイの情報表示により手指消毒を呼びかけ,手指消毒行動の際にはAR(拡張現実)効果を用いたインタラクションによって,手指消毒に対する意識・行動変容が得られた.
実践的なICT人材を育成する場としてソフトウェア開発PBL(Project Based Learning)が注目されている. PBLでは, プロジェクト開始時にリスク管理を行っているが, プロジェクトメンバーがプロジェクトでのソフトウェア開発経験が浅いことから, リスクの洗い出しが不十分であることと各リスクの適切な対策が立てられない等の問題がある. そこで, 各開発工程始めに過去の失敗事例を参照したリスクの洗い出しと各開発工程終わりにリスクの振り返りを行うというアプローチを提案する. 本研究では, リスクの洗い出しと振り返りを支援することでプロジェクトが計画通りに進み, 成果物が完成することを目指す.
ピアノ初心者が演奏技術を習得する際,身近に熟達者の居ない環境では,練習者は自分の不得手要素や練習毎の成長・変化に気付くことが難しく,得意な部分ばかりを何度も練習してしまうなど,効率の悪い練習をしがちである.その結果,練習者は練習に多くの時間を割いているにも関わらず,それに見合った熟達 効果を得る事ができず練習意欲を減退させてしまう.そこで本研究では,練習者の打鍵情報や視線情報を基にピアノ練習状況を可視化するシステムを構築し,ピアノ演奏熟達を効率化することを目的とした.

【B-05】 場面検出を用いた音声マスタリングの自動化
上田雄大 (北大情報科学研究科知能ソフトウェア研究室)

近年ではコンピュータの性能の向上もあり、より気軽 に声を録音したり、楽曲を製作したりすることが可能と なった。最終的にこれらをより高品質に仕上げるために は、演奏や編曲といった音楽的な側面のほかにも、エン ジニアリング的な観点から音声や楽曲を調整する必要が ある。本稿で扱う「マスタリング」とは、音声データを 扱う際の最終的な仕上げの工程であるが、基本的には専 門のエンジニアが行うものであり、個人で行うには経験 や勘を養うことが必要とされ、初心者へ立ちはだかる壁 のひとつである。本稿は、このマスタリングの自動化の草案をまとめた ものである。マスタリングの工程をいかにして自動化で きるか(すべきかに)ついて検討を行っていく。また、楽 曲の場面検出による精度・品質向上の可能性についての ほか、検出の方法についても考察していく。
看護技術は、看護の質の確保だけでなく医療安全において重要である。看護技術の習得には理論を解説しながら、映像を用いた指導が効果的である。映像には指導者が看護の各技術場面を想定して映像に収録して編集する過程がある。看護技術の映像には暗黙知的なコツなどがあるため、技術を継承させるための映像抽出と編集は、複数の指導者で実施するのが的確な看護技術の映像教材になる。本研究では、収録映像を複数の指導者が視聴して重要な箇所を抽出するための支援環境を構築し実験した。支援の具体例として、複数のタブレットやPCで重要である映像をキャスティングして、議論の場で集めて編集することを可能にした。構築にはマルチプラットフォーム対応のストリーミング端末を用いた。

【B-07】 情報投影型展示支援手法の提案
瀬川直生 (公立はこだて未来大学)

本研究では展示物の形状に合わせ, プロジェクタを用いて展示物の情報を表面に投影・表示するシステムを提案する. この手法によって情報のオーバレイを行う形で理解の促進を図りながらも拡張現実による支援手法のような負担を鑑賞者に与えない展示支援が可能となる.
遺伝的アルゴリズムは自然界の遺伝の仕組みを模した最適解の探索アルゴリズムである.近年では遺伝学の研究が進み,遺伝的アルゴリズムが登場した当初よりも,遺伝のしくみについてより多くのことがわかっている.遺伝的アルゴリズムにおいて突然変異確率はすべての遺伝子座で一定としているが,最新の遺伝学によると突然変異率は遺伝子座ごとに異なり,生存のために重要な遺伝子では突然変異率が低いという報告がされている.そこで本稿では,突然変異率を部分ごとに設定する手法を提案し,すべての遺伝子座で突然変異率が一定な場合と比較して実験を行った結果について報告する.
北海道大学周辺には300店を超える飲食店が立ち並ぶ.これらの飲食店を舞台としたゲーム「北大グルメExpo」が年に1度3ヶ月に渡り行われている.飲食店に設置された二次元バーコードを読み取って回る電子スタンプラリーは今年で3回目の実施となった.参加者に対して楽しんでもらうために様々な企画を用意していたが,一方的に楽しさを提供するのみであった.しかし,その中で,楽しさが参加者間でも生まれていることが分かった.この楽しさを価値ととらえるならば,双方向に価値を提供し合えるイベント設計が可能であると考えられる.この双方向の価値提供を創発させる仕組み作りが今後のイベント設計に必要であると考えられる.そのようなイベント設計に向けた価値提供の仕組みを北大グルメExpoを事例として検証する.
This paper propose to use crowdsourcing as a way to generate predictors instead of experts. Only preliminary research was done until now. Further research will be carried out.

【B-11】 コーンビーム型X線CT画像に対する画質改善処理
孫氷玉 (北見工業大学大学院情報システム工学専攻)

コーンビーム(Cone Beam)型X線CT(Computed Tomography)撮影装置(CBCT)は,21世紀になってから歯科医院と放射線治療施設に普及している。CT検査に高原子番号物質の金属性マテリアルを人体に利用すれば、避けがたいアーチファクトが出てくる。本研究はCBCT画像に対して、アーチファクトを軽減する方法を提案した。 我々は隣接する薄いCTスライス同士は極めて似たような解剖学的構造を描出していることを注目するのが本研究の原点である。そこでsuccessive iterative restorationという処理法を提案した。逐次近似のOS-EM法を採用した。以前の研究にMDCT画像を処理対象とするアーチファクトの軽減にOS-EM法の有効性を検証したが、本研究はCBCTを処理対象とした。結果としてOS-EM法はCBCT画像上のアーチファクトを軽減することができた。

【B-12】 ピアノ熟達におけるチャンク形成要因の分析
大角悠華 (公立はこだて未来大学)

楽器の演奏には多大な労力や時間を必要とするため, 練 習を断念してしまう演奏者が多く見られる.この問題を 解決するために,竹川らは電子鍵盤楽器へのプロジェク ションマッピングにより鍵盤上に演奏補助情報を提示す るピアノ学習支援システムを開発した.また,田村らは より効率的なピアノ学習を提案するために,竹川らのピ アノ学習支援システムを成人ピアノ初心者に利用しても らい,未熟から熟達にかけてのチャンク(一連の複数の 音符をまとまりやパターンとして認識する単位)形成過 程について調査した.その中でピアノ演奏におけるチャ ンク形成の変容に一定の傾向がある事が明らかとなった が,ピアノ演奏は,譜読み,打鍵行為,演奏音の聴取な どさまざまな要素が複雑に絡み合っており,どの要素が チャンク形成に関わっているのか調査できていない.ま た,熟達度によってもチャンク形成に影響する要素は異 なると考えられる.そこで本研究では,ピアノ演奏の熟 達におけるチャンク形成要因の調査を目的とする.本研 究ではピアノ初心者の熟達とチャンク形成との関係を分 析するために,ピアノ演奏に影響する 3 要素(運動・認 知・知覚)の増減を制御した実験を実施する.

【B-13】 Leveraging Crowdsourcing to Make Models in Multi-label Domains Interoperable
段磊 (北海道大学大学院情報科学研究科)

Recently, the issue of learning from multi-label data has attracted significant attention. Due to different aspects that multi-label classifiers want to capture, personal preferences of researchers, or just inconsistency in terminology usage, the employed models may differ from each other. Therefore, model interoperability is a big concern in multi-label domains. Our study focuses on exploiting effective interoperation between two different models in a multi-label domain through the application of harmonised mapping established in a crowdsourced setting.
管楽器演奏において,正しい音高での演奏は重要な能力であるが,予め調律されているピアノ等の楽器とは異なり,自らの音感やチューナーを用いて音高を調整しなければならない事や,正しい音高を判断するための耳の良さを鍛えるのに時間を要するといった理由から,演奏時に高精度な音高認識能力が求められる.そこで,本研究では管楽器初心者を対象とした音高正誤判定能力向上のための学習支援システムの構築を目的とする.
非負値行列因子分解(Non-negative matrix factorization,NMF)は, 非負値行列を二つの低ランクの非負値行列に分解する多変量解析の手法である.従来のNMFでは,コスト関数としてユークリッド距離やKLダイバージェンスといった距離尺度が用いてきたが,観測データはしばしば非観測なノイズを含んでいるため,これらの距離尺度を用いたNMFはノイズの影響を受け特徴抽出に失敗する場合がある.本稿では,ノイズに対する頑健性を持つことで知られるγダイバージェンスをコスト関数として用いたNMFアルゴリズムを,2種類の方法(行列間の隔たりに基づく方法と統計モデルに基づく方法)で導出して,その頑健性を比較・検証する.

【B-16】 飛距離を伸ばす投球イメージ トレーニングシステムの研究
塚本裕樹 (公立はこだて未来大学大学院システム情報科学研究科)

本研究では,イメージトレーニングとフィードバックを用いたトレーニングシステムの手法を提案した.トレーニングシステムを使用することで,運動することがより楽しくなり,苦手意識を持っていた子どもが少しでも運動・スポーツに対して興味を抱いてくれると考えられる.考察として,システムを使って指導を行うことで子どものモチベーション向上につながると考えられる.

【B-17】 心音の時間的特徴に基づく正常・異常心音の識別
田邊 圭佑 (苫小牧工業高等専門学校)

 聴診は、異常心音を聞き分けることで多くの疾患を診断することが可能だが、診断を行うための熟練が必要となる。  本研究では、医療の知識・経験をコンピュータで代用することで自動聴診を行い、異常心音を検出する。
心肺停止の傷病者の応急手当をする際、AEDの準備に要する時間を考慮すると胸骨圧迫手法は最重要であり、またAEDが設置されていない環境では、心肺蘇生法(CPR)の効果を最大限にするための唯一の術である。CPRの概要や方法論は講習等で社会に周知されていても、胸骨圧迫手法の実践的かつ学習の評価はされていない。よって胸骨圧迫時の姿勢の学習支援システムが重要であり、特に、圧迫する際の腕が伸展位になるような実践的学習を実現させることが本研究の目的である。伸展位と屈曲位の変位を検出するためのセンサーカメラとしてKinect for Windowsを用い、圧迫加重を検出するためバランスWiiボードを用い、拡張現実機能を実装したアプリケーションとして公開検証した。
本研究では,日韓二言語間における語解釈の齟齬解消を目的とした議論を行う.まず,桝井らが提案した日本語テキストを対象とした比喩的素描手法を拡張し,韓国語に対応する比喩的素描手法を提案する.次に,二つの比喩的素描手法を利用して両言語の素描知識を収集し,二言語間の知識の比較と知識のギャップについて議論する.  対応のある日韓両言語のquery語を20組用意してこれらに対する素描知識を収集し評価と比較をお行った.その結果,韓国語に対応した比喩的素描手法について79.3%の適合率が得られ,日本語対応の手法よりも高い性能が得られることが示唆された.また,両言語の素描知識を比較した結果,50%程度の知識が共通していることがわかるなど,両言語間の語解釈の齟齬解消に向けて一定の知見が得られた.
女性であれば、誰もがお産に対する不安は大きい。現代社会は家族構成が夫と二人世帯、あるいは、産科の減少でお産予定の病院から離れた僻地に住んでいるなど、子どもは産みたくても不安要因が多くある。本研究では、お産を考える女性の教育支援、実際にお産時期になった女性を支援するため陣痛ダイアリーと称するスマートフォン向けアプリケーションを開発し公開配布した。アプリケーションの試行的な使用で抽出調査すると、大学生の若い女性は安心して子どもを産める社会への期待を抱き、実際にお産で使用した女性からは、遠く離れた病院への連絡コミュニケーションや移動の意思決定タイミングに有用であったという意見が得られた。
一般に,議事録は会議の内容共有や振返りに有効であ り,一人の書記によって作成されている.しかし,個人により必要とされる情報が異なるため,関係者全員に とって有用な議事録を作成するのは難しいそこで, 議論タイムスパン木の提案をする.我々は発言間の結束性に関するルールを導入し,より発言の意図に基づく議論タイムスパン木の作成方法を提案した.また,従来手法との比較を行い木構造の違いについての検証を行った.
インターネットの普及に伴いWebを活用したイベント発信が増えている.しかし,ユーザにとってイベントの数がたくさんあるとその中から興味のあるイベントを探すことは困難である.そこで本研究ではWikipediaのカテゴリを利用し,ユーザの嗜好に基づいたイベント推薦システムの構築をする.推薦手法として,イベント情報に含まれている詳細情報を利用しそこから特徴キーワードを抽出する.さらに,より関連性の高いイベントを推薦するために抽出した特徴キーワードから概念階層を生成し,その概念階層におけるカテゴリ群の一致の有無から推薦するイベントを決定する.また.構築したイベント推薦システムの有効性について検証を行う.

【B-24】 文章における言葉遣いが提示内容の理解に与える影響
北 信生 (公立はこだて未来大学大学院システム情報科学研究科)

自然言語によるインタフェースでは,文章が利用者に与える影響は大きいと考えられる. 語尾による印象や内容の理解への影響を明らかにするため,大学生27名に実験に参加してもらい,特性形容詞尺度への回答とナンバープレースパズルの結果を元に分析を行った. その結果,文章に常体を用いることにより,信頼性や活動性が高く評価され,さらにパズルの成績も向上した. 一方,推量の表現を用いると信頼性が低くなるだけでなく,パズルの成績が落ちる可能性が示唆された. 従って,インタフェースの表示する文章を考えるときには,どのような印象をもたらすかだけでなく,内容の理解に与える影響も考慮する必要があると考えられる.
著者らは,スマートフォンレベルで処理可能なテクスチャ解析と機械学習を用いて,生ウニのおいしさを簡易判別するアプリケーションの実現を目指している.具体的には,スマートフォンの内蔵カメラでウニを撮影し,テクスチャ解析の手法である同時生起行列(GLCM)による角2次モーメント,歪度による画像特徴を用いて生ウニのおいしさの基準である粒のキメや表面のツヤを測定する.これらの特徴量に対して,機械学習の手法であるNaive Bayesを用いて,撮影した生ウニがおいしいかおいしくないと思われるかの判断確率を出力する.これらの手法をスマートフォンのアプリケーションとして実装し,妥当性をスマートフォン端末であるNeuxs Sを用いて検証した.
情報統計力学による教師あり学習における単純パーセプトロンをオンライン学習理論に基づき解析を行った.教師にガウスノイズを重畳する場合をノイズがない場合と異なり学習曲線にオーバーシュートが見られる.先行研究では学習曲線の理論式を数値解析により近似的に原因を示した.本研究では学習曲線に必要なパラメタを解析的に導出することを目的とする.解析結果は先行研究の近似直線と一致した.
近年、計算機可読な情報処理を可能とするセマンティックWebへの関心が高まっている。そのような中、WikipediaはセマンティックWebのハブとしての役割を期待されており、知識源としての利用価値も高い。本研究では、Wikipediaの構造性を活かしてRDFデータを生成し、リスト型質問応答システムにおいて背景知識として利用することで、ノイズを含む回答候補からでも高い精度で正答を抽出できるシステムの構成を目指す。

【B-28】 地域デジタルアーカイブスを活用した観光振興
木村健一 (公立はこだて未来大学)

函館におけるデジタルアーカイブスのこれまでの取り組みに触れながら、函館市の産業振興セクタと観光産業関連企業が一体となって取組んだ「五稜郭築造150 年祭」で用いた誘客のための宣伝・広報手法であるメディアミックスと、事業の核の一つとなったリトファスゾイレ(円柱型広告塔)の設計と実装とその成果について述べる。

【B-29】 でこぼこスケッチ:凹凸のあるキャンバスを用いた立体スケッチインタフェース
友広歩李 (公立はこだて未来大学システム情報科学部情報アーキテクチャ学科)

本研究では,デザイナを対象とし,空間構造の理解や新しいデザインを促すスケッチインタフェースを提案する.このシステムでは手書きのスケッチに三次元構造を組み合わせることで,奥行きのついたスケッチの世界を歩き回ることや,空間内にメモやアイディアを描き加えることを可能にする.複数人で同じ空間にスケッチを行うことや,スケッチ後の空間が共有でき,デザインにおける情報の記録から活用までを支援するシステムを目指す.今回は,タブレットPCとデプス(depth)カメラを用いてプロトタイプのスケッチインタフェースを開発した.
大規模分散システムは,その用途の性質から頑健であることが求められる.本研究では,選択的攻撃が大規模分散システムにどの程度被害を与えるのかをシミュレーションし,障害の発生したシステムの自律的回復手法の検証を行った.実世界のセンサネットワークを想定した実験モデルを用い,(a)タスクの平均処理時間,(b)タスク処理の平均協力者数,(c)平均処理能力,(d)平均経路長,(e)次数分布,以上5点のデータを取得し,比較した.実験の結果,攻撃直後と修復後では,修復後の方が平均協力者数に向上が見られた.さらに,平均処理能力についても修復後の方に改善が見られることがわかった.
スマートフォンなど携帯情報端末において,テキスト入力は操作の多くを占めている.画面に表示されたソフトウェアキーボードによりテキストを入力するが,スマートフォンの小さな画面ではキーが小さく入力しにくいという問題がある.一方ユーザは,なるべく短時間でテキストを入力したいというニーズを持っている.本稿では,Twitterにテキストを投稿するという状況を想定し,システムから提示した文章を選択するだけでTwitterに投稿できるシステムを開発する.投稿するテキストを予めテンプレートとして登録しておき,投稿時には登録したテキストを呼び出す簡単なタップ操作のみで投稿が完了するというアプローチによりステップを簡略化する.

【B-32】 座面の圧力センサを使用した着席者の動作分析
鈴木駿介 (北海道大学大学院情報科学研究科情報理工学専攻情報認識学研究室修士1年)

近年,個人の趣味や趣向に合わせたパーソナラ イズドサービスの提供を目的として人間の行動を自動で理解あるいは予測す る研究が行われている.しかし,こういった研究の多く は,歩行や腕の振り上げなど大きな動作を伴う行動の 時間的変化を認識して記録するものが主である. それに対して本研究ではオフィスワークに見られる 小さな動作の分析と記録を行う.具体的には着席時の動作の小さな差を識別す る.着席時の動作とはタイピングやマ ウス操作などである.このためにユーザが着 席する椅子の座面と背もたれに圧力センサシートを設置して, それらから得られる圧力データを動作の識別に利用する. 想定としては1日程度のタイムスケールにおいて,その人が着席時に行った動作を履歴として残す. このシステムにより各ユーザが1 日に行った作業内容が明確となり,作業 効率の向上や過労判定などに利用できると期待される.また,ユーザの行動管理を行うことも可能である.

【B-33】 リモート魚群探知機の開発
和田雅昭 (公立はこだて未来大学)

本報では,著者らが開発した定置網漁業支援のためのリモート魚群探知機について報告する.リモート魚群探知機は浮体となる筏,制御ボード,トランスデューサ,通信アンテナ,マリンバッテリで構成される.取得した音響データはiPadアプリケーションで魚群映像として表示することができる.同時に,クラウドサーバにアップロードしており,今後は魚種判別や漁獲量推定に活用する計画である.リモート魚群探知機の実験は平成26年6月から函館市古部地区で実施している.

【B-34】 スマートフォンを用いたAR花札システムの開発
圓谷将大 (北海道大学大学院 情報科学研究科)

日本伝統のカードゲームに花札というものがある。これは、札に「月」や「点数」を直接示すような文字情報が書かれていないという点に加え、多様な種類の「役」やローカルルールを覚えなければならないという点から、初心者にとっては少々難しいゲームとなっている。そこで本研究ではこのような問題を解決するために、花札の画像認識と拡張現実(AR)を応用し、実際の札から視覚的に情報を得ることが出来る初心者支援AR花札システムを構築する。また、このシステムの画像認識における問題点を解決するため、画像から得た特徴点を利用した札認識手法案を検討している。
本研究は,3次元仮想空間内における並列二重倒立振子モデルの振り上げ安定化の行動を獲得することを目的とする.モデルはNVIDIA社の物理エンジンであるPhysxを用いて作成し,安定化制御に人工ニューラルネットワーク(ANN)を用いる.また,ANNのニューロン間の最適化に遺伝的アルゴリズムGAを用いる.数値実験では2つの振り子の安定化制御までは至らなかったものの,2つの振り子が上に上がった状態でバランスをとろうとしている行動は観察できたので,安定化のための行動を試みているのがわかった.安定化までに至らなかった原因としては,主にGAの世代数が足りないことや,GAのパラメータの調整が不十分であったことが考えられるので,今後改良していく.

【B-36】 DTM(DeskTop Music)での音作り支援システムの構築
齋藤 創 (公立はこだて未来大学)

近年DTM(DeskTop Music)と呼ばれる作曲活動が活発になっている。そこで、本研究ではDTMにおける「音づくり」という作業に着目する。現状の音作りは音作り情報の記録や検索に課題がある。本研究では、DTM作曲者が音づくり情報を再利用可能な状態で登録し、登録された音作り情報をタグにより容易に検索を行う事ができる音作り支援システムを提案する。このシステムは特徴語抽出を用いたタグ登録の支援機能を有する。また、予備実験を行い、タグの取り扱いと特徴語抽出に関する評価および検討を行う。

【B-37】 多者間での身体的相互作用による個性の発現
齋藤宗太郎 (北海道大学工学部情報エレクトロニクス学科情報工学コース自律系工学研究室)

従来の研究では,相手のオブジェクトを人が動かしているのか,それも人でないものなのかを区別することに焦点をあてて研究が行われてきたが,社会的相互作用において,たとえ相手が人であった場合にもそれがいったい誰であるのか,昨日あった人と同じであるのかどうか,を判断しなければならない.一見,外見からそれは簡単に判断できるように思えるかもしれないが,相手の人のその人らしさは,外見だけにかかわらず,その人固有の相互作用の仕方があるはずである.本稿では,その人固有の相互作用の仕方,アイデンティティが社会的相互作用においていかに生成されるかをPerceptual Crossingの実験環境を用い実験的に再現することで,明らかにする.
うつ病患者を患者を身近で手助けする人々,周辺看護者は患者の症状による変化や,周囲の人に知られたくないという気持ちからストレスを抱えている.周辺看護者はストレスを解消するためにインターネットを用いた検索を行うが,周辺看護者の知りたい情報は患者自身のブログや専門機関のサイトなど多くの情報に埋もれてしまいを得ることができない.本研究の目的はこのような周辺看護者の行う検索を支援することである.そのため周辺看護者の検索に固有な問題を洗い出し,その解決へのアプローチとして,CRFによる自動タグ付け,SVMによる文章の自動分類を提案する.今後は,より効率的な検索のためにタグやカテゴリの定義についてより議論を深めていかなくてはならない.